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執筆者の写真研究員 田中久生

ノンサンディングは爪に優しい!?

「ノンサンディングは爪を削らないから、爪に優しい」という表現をよく耳にします。

この表現は、ネガティブな印象を与えず、良いイメージを持たせる言い回しです。確かに、サンディングとはジェルネイルを施す前の準備段階で行う工程の一つで、バッファー(爪やすり)を使って爪の表面を削る作業です。物理的に爪を傷つけないことから、「爪に優しい」や「時短ができる」というメリットを強調する広告表現として、広く用いられています。


しかし、結論から言うと、「ノンサンディングが爪に優しい」というのは誤解です。サンディングは、古くから実践されてきたネイル技術の一つであり、爪の長さや厚みに応じて、あるいは使用する材料に合わせて適切に行われます。

「サンディング=爪を傷つける」とのイメージが先行していますが、実際には必要に応じたサンディングが行われているのです。例えば、爪表面の凹凸を整えたり、ジェルの密着を妨げる脂質や油分などの汚れを除去するための作業であり、爪を無闇に削るものではありません。


さらに、爪は見た目よりも乾燥しやすく、特に表面層はもろく、荒れた状態にあることが多いです。そのため、最表面のサンディングは、ジェルネイルを密着させるために必要な作業とも言えるのです。


サンディングなどの前工程を省略してしまうと、ジェルがうまく密着せず、早期に剥離する可能性が高くなります。これにより、ジェルが剥がれる際に爪の表面を一緒に剥ぎ取ってしまうことがあり、結果として爪に大きなダメージを与えてしまいます。さらに、剥離した部分に水分や汚れが溜まりやすくなるため、衛生環境が悪化し、細菌や真菌(カビ)が繁殖しやすくなります。その結果、感染症のリスクが高まり、爪周囲の皮膚に炎症を引き起こす可能性もあります。適切な準備を怠ることは、短期的な利便性を求める代わりに、長期的には爪の健康や安全を損なうリスクがあるのです。

表面的な言い方やイメージで判断せず、目的にあった商材や施術方法が爪への優しさにつながることを、皆様に知っていただきたいと願います。



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